Press Release

【プレスリリース】【200社の動画広告を独自調査】 “92%の動画広告は媒体最適化ができていない” と判明(RC総研)

運用型クリエイティブクラウド「リチカ クラウドスタジオ」を運営する株式会社リチカ(本社:東京都渋谷区 / 代表取締役:松尾幸治 / 以下、当社)は、「伝わる、を科学する」をテーマにしたマーケティングの研究機関『RC総研』の第五弾レポートを公開しました。第五弾では、国内企業200社のデジタル広告のクリエイティブに関する独自調査を行いました。また、過去四回分のレポートも無料での配布をしています。

総研全文はこちら:https://richka.co/rcs-report5/

調査に至った背景

近年、企業のデジタル広告はクッキー規制やアプリトラッキング透明性など、世界的なプライバシー保護の流れを受けて大きな変革の時期を迎えています。従来型のターゲティング施策が困難になり、成果向上のための打ち手に悩む広告運用者は多く存在します。

そんな中で注目されているのが、顧客のペインを元にクリエイティブを量産、最適化して改善していく「運用型クリエイティブ」という考え方です。実際に、広告においてはクリエイティブが最も購買に貢献する要素であるという調査もあり、ターゲティングやリーチよりも改善を強化すべき点であると考えられています(*1)。

しかしながら、デジタル広告の媒体は年々数が増えて多様化しており、それら全ての配信面に最適化させたクリエイティブを作り分けて運用していくのは困難になってきています。

そこでRC総研では、国内200社が配信しているデジタル広告を独自に調査。クリエイティブを媒体に最適化させられている企業の割合を明らかにしながら、デジタル広告のあるべき姿を提言することを目指しました。

調査概要

調査時期:2022年1月
調査対象:RC総研が独自にリストアップした国内主要企業200社。
調査方法:200社のうち、Facebookのフィード広告にて動画広告を配信していた59社の最新クリエイティブ (※調査実施時) が、媒体が推奨するモバイル動画広告のベストプラクティス5つに当てはまっているかを調査。

調査結果

【サマリー】
・全ての条件を達成していた割合は8%のみ、92%の企業は媒体最適化できていない
・最も達成されていなかった項目は「情報をシンプルに伝える」で、15%の企業しか最適化できていない。
・最適化ができていない代表的な事例として「TVCM素材をそのまま配信している」ケースが目立った。

【詳細】1.全項目を達成していたのはわずか8%

Facebookが推奨する5項目の条件(*2)をクリアしたクリエイティブを配信しているのは、なんと59 社のうちわずか5社。動画広告を配信する企業のうち8%ほどしか、ベストプラクティスを実践できていないことが判明しました。92%の企業が、クリエイティブ最適化が十分にできていなかったことになります。

2.動画広告を短尺にできていたのは63%

動画を15秒以内にすることで、最後まで見てもらえる可能性が高まる、とされている Facebook広告。この条件は 63%(37/59 社)の企業がクリアしていました。

6秒クリエイティブを活用する企業もあり、広く浸透しているベストプラクティスであることが伺えます。その一方でテレビCM など、30秒以上のクリエイティブをそのまま配信している事例も少なくはありませんでした。

3,メッセージやブランド、ロゴを冒頭に表示していたのは53%

Facebookが提唱するのは、動画の冒頭にメッセージやブランド、ロゴを冒頭に表示すること。こちらは 53%(31/59 社)の企業が条件に沿ったクリエイティブを配信していました。

多くの視聴者が冒頭で離脱するデジタル広告において、顧客をひきつけるためにはとても重要な項目。しかし、半数近くの企業が実践できていないことが判明しました。

条件に達しないクリエイティブで多かったのは、ネット上で話題となるようなドラマ・ショートムービー系の動画、そして商材のイメージを伝えるブランディングムービーです。キーメッセージが最後にあるテレビ CM をそのまま活用しているケースも見られました。

4.画面占有率の高い動画を用意できていたのは58%
Facebook フィード面においては、画面占有率高くクリエイティブを露出するため、1 : 1 の正方形や 4 : 5 の縦長なアスペクト比のクリエイティブが推奨されています。この項目について、最適化できている割合は 58%(34/59 社)とやや高めでした。

Facebook 用にゼロから作成されているクリエイティブもあれば、横長動画の上下に画像を貼り付けることでアスペクト比を調整する事例も多くありました。

ただ動画尺の最適化同様、TVCM をそのまま流用している企業もしばしば。横長動画はスマートフォンでは画面の占有率が下がってしまうため、顧客へのインパクトも薄くなってしまいます。

5.サウンドオフでもわかる内容になっていたのは76%
電車やバスなどの公共交通機関をはじめ、あらゆる状況で動画が視聴されるようになった現在。実際、デジタル広告、特にディスプレイ広告の多くは、サウンドなしで視聴されるケースが多いです。音声なしでも伝わる動画であるか、という要素も非常に重要な最適化要素。この条件をクリアする割合は 76%(45/59 社)ともっとも多いことがわかりました。

テキストやグラフィック、キャプションを活用する企業が多く、Facebook 広告配信時のセオリーとしてかなり浸透しているようです。

しかし、商品映像だけを流し文字の記載が一切無いケースも。音声なしで動画が再生される機会が増えたからこそ、より視聴者の環境を加味した工夫が求められます。

6.情報をシンプルに伝えられていたのは15%
そして、もっとも実践できている企業の割合が少なかったのは「情報をシンプル に伝えること」。今回、RC総研が定義をした適切な情報量にまとめられている企業は、わずか15%(25社/59 社)でした。

NG例として多く見受けられたのは、訴求要素やテキストを詰め込みすぎて伝えたい情報を絞り込めていないクリエイティブ。視点が分散してしまったり、そもそも情報が届かないようになってしまいます。また TV 視聴向け字幕の文字サイズで制作したために、モバイル端末で見ると文字小さすぎてしまう、という事例もありました。

本調査の提言

今回の調査を通じ、92%の企業がデジタル広告のクリエイティブを最適化できていないと明らかになりました。
特に目立ったのが、TVCMの動画素材をデジタル広告として配信しているケースです。同じ映像広告といえど、スマートフォンで見られるデジタル広告とTVCMではユーザーの視聴態度も媒体も違うため、全く異なるクリエイティブが求められます。今回の調査結果からは、こうした広告配信面そのものへの理解が、多くの企業ではまだまだされきっていないという現状が伺えます。

こうした結果を受け、RC総研ではデジタル広告において留意すべき3点を提言します。

・デジタル広告におけるクリエイティブの重要性を認識する。
・各配信媒体が推奨するクリエイティブの条件を確認する。
・TVCMなどを流用せず、媒体ごとに最適なクリエイティブを制作、検証する。

総研全文はこちら:https://richka.co/rcs-report5/

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